ペットと栄養学
妊娠・授乳期の栄養摂取
各メーカーのフードの給与量を見ていて不思議に感じることはありませんか?それは、妊娠期や授乳期の給与量。妊娠期はおなかの赤ちゃんの成長の分までたくさん食べなければならないことはなんとなく理解しやすいです。授乳期もお乳を作るために栄養取らなければならないのはなんとなくわかりますが、その時の食べる量は通常の成犬・成猫の2〜4倍以上!!妊娠中よりも多いんです。人間だって、授乳中のお母さんが普段の2倍以上食事するなんてことないですよね。(太ります・・)
その理由は、わんこ・にゃんこの赤ちゃんの成長にありました。
犬・猫・牛・人の赤ちゃんが生まれてから体重が2倍になるまでの期間です。犬や猫はたった1週間ちょっとで2倍の重さに成長します。ものすごい成長速度ですよね。
この成長を支えているのは、母乳です。他に何も食べない時期ですし、植物のように根から吸収とか光合成とかありえません。体を作る材料源は100%母乳です。母乳に秘密が隠されていそうですね。
ならば、それぞれの母乳の栄養成分を比べてみましょう。
犬や猫の母乳は、牛乳や人の母乳と比べるとタンパク質と脂質の割合が圧倒的に多いのが特徴です。どちらも体を作る材料(脂質は細胞膜等の材料)。脂質が多いおかげで、母乳のエネルギー量はものすごいことに。上の円グラフは水分を省略した栄養成分の比率ですが、水分との比率でみても犬と猫の母乳は牛・人よりも割合が高いのです。赤ちゃんの急速な成長を支えている母乳。授乳期の犬・猫のお母さんはものすごいエネルギー摂取が必要だと分かります。ラクトース(乳糖)でおなかを壊すということもありますが、子犬・子猫に牛乳を与えてはならないということがお分かりいただけるかと思います。栄養不足に陥ります。
注:グラフはあくまで説明のための目安です。給与量を判定する目的には絶対に使用しないでください。
犬のお母さんは約9週間の妊娠期間の前半は体重があまり増えません。後半に急激に増えていきます。食事量も妊娠期間の後半に増大します。これが、妊娠期間の時期によって必要な食事量(DER)が変化する理由です。
出産で体重はほとんど元に戻ります。なのに、食事量は一気に増大します。この食事量は南極でそりを引く犬なみの食事量だそうです。ものすごいハイカロリーです。数匹の急成長する子犬を育てるのに必要な母乳を作るためです。犬のお母さんの胃袋が耐えられるか心配になりそうです。でも、お母さん犬のおかげで子犬はすくすくと育ちます。
注:グラフはあくまで説明のための目安です。給与量を判定する目的には絶対に使用しないでください。
猫は妊娠中コンスタントに体重が増加します。そのため、この期間中の食事量は妊娠前より少々増えますが、変化はあまりありません。
猫は出産しても体重が元には戻りません。妊娠中に太ってしまうのです。人間にもいますよね。赤ちゃんを言い訳にしてどんどん太っていくお母さんが(笑)。この体に蓄えたエネルギーは授乳期間に使われます。そのため、授乳期の初期では犬のようにがっつりと食べる必要はありません。妊娠中に蓄えたエネルギーも利用して母乳を作ります。体重が元に戻るにつれて食事量が増えていくというわけです。
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